ケトルベルをこれから始める方へ 〜〜 Part−2,続き

前回の続きです。

これは本当は前回の号で書くべきでしたが、頂いた質問にはなかった件なので書きそびれました。 しかしケトルベルトレーニングを始める方にはまず始めに行って頂きたい事があります。

※ ケトルベルは玩具ではなく、"トレーニングの道具" 或いは競技(パフォーマンス) の為の道具です。まず、ケトルベルを始めるに当たり、”目的”を明確に持ってください。 何の為にケトルベルを始めたいのか。 それは痩せたいという理由であったり、筋肉や筋力をつけバルクアップしたいとか、他のスポーツの為の強化を目的とした補強トレであったり、或いはただケトルベルが好きで、或いは筋トレ全般が大好きだから、でも良いのです。目標を持つと持たないのとでは日々のトレーニングの仕方も結果も変わってきます。

次に、目的を持ったら今度は目標を持ってください。 これは個人によりますが、大体最終目標があり(競技者なら当然競技での勝利が目標ですね)、〜それは〇〇kgまで痩せたいとか、1年後には32kgダブルでプレスしたいとか。。。 そして日々のトレーニング毎に「今日は30分でこれとこれを行おう」と決め、それを毎回のトレーニングで達成できるよう頑張ります。 もっと本格的にKBトレーニングの計画を立てたい方は,今月号のアイアンマン誌の私の記事が参考になるかもしれません。

さて、昨日のQ & Aの続きです。

Q: ケトルベルの種目を少ししか知りません。初心者がするべきでない種目などについても知りたいです。

A; KBは、ロシアから米国に入ってきてから沢山の種目が生まれました。現在ではKBを使用した数百もの種目が存在しています。私が持っているスティーブ・コッターのDVDセットでは400種目ほどが紹介され、去年出版された彼のA4判の本では250ページ以上で190種目がカラー写真解説付きで紹介されています。 これ全て行うのは彼本人ひとりかもと言う気もしますが(笑)、色々種目を知る事は楽しみでもあります。 しかし、仰るとおり初心者の方は基本種目のマスターからというのは常識です。昨日のブログで16kgベルは最も重要かつ基本サイズと述べましたが、KB種目にも同じ特性のものがあります。 KBスイングです。 KBをはじめて持った方は必ずスイング種目を行い、ロシアの超上級コースでも実技指導にスイングが入っていました。 KBスイングは他のウエイト器具では得られない動きと効果があります。 ここでは詳しい技術解説は行いませんが、スイングは両手スイング、片手スイング、オルタネートスイング(片手を1レップごと或いは数レップスごとに左右持ち代える)などをお勧めします。 他にフルスイング(クロスフィットではアメリカンスイングと呼ぶ)や、両足の外側で行うスイング、ランジをしながら行うスイングなど多くの種目があります。

全く初めてケトルベルトレーニングをする場合は、KBデッドリフトから始められると良いでしょう。 床のベルをデッドリフトする事でベルを床から安全に持ち上げる基本動作も学べます。 ただしデッドリフトしたベルはバーベルのようにドスンと床に落さないように(笑)

デッドの次は両手スイング〜片手スイング〜片手クリーン〜スクワットなどが初心者向けです。これらは私も毎回行っています。KBリフターのトレーニングはスイング無しには始まりません。それからプレスの基本種目そしてTGU=ターキッシュ・ゲットアップ。これは一見難しそうな動きに見えますが、大まかな動きは殆どの人が3回位でできるようになります。動作そのものは数分で覚えられ、KBを知らない人からはなんか難しい事をやってるように見え、ジムでもおばさんとかが自慢げに行っています。 動作を覚えたら次に、常に肘を伸ばすとか目線はベルにとか、腹筋とか手の位置などを細かく勉強して行けばよいのです。

全くのビギナーに向かない種目は、ダブル種目、ジャーク、スナッチ、ロングサイクル、ボトムアップ種目、レネゲード・ロウ、スプリント種目などです。そして間違ってもやってみようと思わないで戴きたいのはジャグリング種目。。。。などです。 それからこれも当たり前ですが、一般人なら20kg以上の高重量から始めるのも危険です。

Q2:軍手や手袋をはめてトレーニングしても良いですか?
A2: まず一番最初にトレーニングを始める時は素手でハンドルの感じや、手の中でハンドルが動く様子を肌で感じてください。昨日も書きましたがジャグリングや球体部分を両手で持ってするスクワットなど以外ではハンドルが唯一KBと体(肌)がじかにコミュニケーションを取る場所なので、KBと仲良くなるまでは素手で行って下さい。 トレ時間や内容にもよりますが5〜6回目のトレーニングで最初の"手の平皮剥け”を体験するかもしれません。 その頃にはだいぶKBたるものを理解し始めると思うので軍手をはめられても良いかと思います。ただ、本格的にKBトレを行いたい人や競技トレをしたい方に軍手はお勧めできないどころか「許されません」(笑)。KBトレしたいけど皮剥けやマメは嫌だわという人は「筋トレしたいけど筋肉痛には絶対なりたくないのよ」と言ってるようなものです(笑)。
ちなみに前回のアイアンマンで私はロシアのコーチ陣や私達が軍手をはめてKBを行ってる写真を記載しましたがこれは手を保護するのとは全く反対の意味で使用しています。滑り止めのない軍手で行うとハンドルがつるつる滑ってKBリフティングが非常に厳しくなります。極端に言えば私達はKBトレーニングをわざと苦しくさせる為に軍手を使用するのです。

Q3: 他に注意事項があったらお願いします。
A3: はい。 特に初心者の方は10分くらい準備運動をしてからKBトレに入って下さい。 これは普通のスポーツを始める時と同じ感覚です。 私の所属するIKSFAのワールドチャンピオンコーチ、デニス・ヴァシリエフがKBリフティング前の柔軟運動(関節運動)を行ってる動画をアップしたので参考にされると良いと思います。 簡単ですが重要な運動です。 KBに体が慣れてきたら準備運動は5分くらいでも構いません。

*チョークの使用をお勧めします。 つるつるハンドル、或いはジムや家の床を汚したくないならリキッドチョーク、ザラザラハンドル、或いは使い込まれたハンドルなら粉チョークをお勧めします。 チョークはどちらもKBハンドルと手の平両方につけます。

*クリーンを行うならリストラップやリストバンドがお勧めです。 初めてクリーンする時は誰でも必ず前腕にベルが当たるので。
*後は常識的なことですね。 周りに人や壊れ物がないようにとか、公園などでは平らな場所で行うとか、ゲットアップで目線の先に太陽光線が入るのを避けるとか、、、、そんな所でしょうか。
あと最後に、KBは楽しく!!!行って下さい。

ナゾ