ケトルベルスポーツ用語解説〜その3

昨日は日中気温がなんと30度近くまで上がりました。 私も今年初めてのサマードレスで外出、それでも街を歩けば汗が吹き出てきました。 前回のブログで桜開花の話をしたばかりなのにもう春を飛び越え真夏が来たような一日でした。

さて、ケトルベルスポーツ用語解説第3弾です。

1・タイムセット= KBスポーツは10分間の制限時間の中で”タイムセット”を行うスポーツである。KBトレーニングの中で行うタイムセットの意味は、もともと競技をシュミレーションして10分間スナッチやジャークにトライすると言うものであったが、最近は1分間、4〜5分間、8分間などトレーニングにより時間を決めて種目を行う事をタイムセットと呼んでいる。

2・バンプ=英語では”Bump”と書く。幾つかの違う意味があるが、KBでバンプと言えば弾く(はじく)とか(何かに)ボンとぶつかるとかといった意味から来ている。ラックポジションからジャークをする際、最初の膝のディップから膝を伸ばすと同時に出力が下腿三頭筋やハム等を伝わり腰周りや腹筋全てを使って、腰骨の上に乗った肘からKBを”バンプアップ”させる。(勢いをつけてはじき上げる) そしてこのバンプアップの動作を基にしたトレーニングを通称”バンプ”と呼んでいる。
私は正直な所ロシア人コーチのデニスの指導したバンプしか知らない。 S・コッターやマイクマーラーバンプをしていたが、彼らも始めはデニスから教わった。 なので、ここではデニスのバンプ技術を元に解説したい。
バンプはジャークの開始時の動作なので、ジャークの為の練習である事には違いないが、これは体全体の耐久力がつくトレーニングなので、ジャークやKBスポーツと言わず、体の耐久性を求めるアスリートなら誰にでも行って欲しいと思う。

3・バンプのやり方= クリーンをしたベルをラックポジションに収める。肘が腰骨につく人は腰骨の上に肘を乗せ、つかない人はしょうがないので胸の上にベルが来るかたち。 実際のジャークではまず膝のディップをするが、バンプトレではディップはしないでベルを真っ直ぐ上に顔の位置まで”バンプアップ”し(跳ね上げて)素早くラックポジションに戻る。足はバンプの瞬間踵が少し上がる程度。
このトレーニングのポイントは胸。ラックポジションでは閉じている胸を、胸骨を突き出すようにして大胸筋を広げるような感覚でベルを垂直に上げる。その為のコツは呼吸。息を素早く吸いながらベルを上げ(その為に顔はベルと共に上向きになる)〜ベルが下がる時呼吸は吐き、顔も元に(正面向きに)戻る。 バンプはジャークでの呼吸法や胸を突き出すテクニックを、頭で考えなくて済む様体に覚えこませるのが目的な為、何十回も何百回も続けて練習する。そしてこの単純で短い動作が実は足や下半身にも効き、連続して行うと非常に辛いトレーニングである。それ故耐久力がつく訳である。

4・チェスト・バンプ=チェストとは胸の事。 これはバンプの応用編だが、普通のバンプよりも、より胸部に意識を集中したトレーニングである。 動き的には普通のバンプと近いが、まず、ラックポジションでベルを収める位置は普通のバンプより若干上の胸部。呼吸や顔の動きは同じだが、足は動かない。踵も上がらない。要するに下半身の力を導入せず、胸郭の弾力性を十分に活かして胸部をチョンチョンと突き出すようにしてベルを小さくはじき上げる運動である。ベルが弾き上がるのはほんの20cmほど。呼吸も短く瞬発的にシュッと吸って(Up)フッと吐く(Down)。 バンプとチェストバンプをセットで合計100〜300レップス位行う。 単純で退屈で辛いトレーニングだが、これは本当に耐久性がつく。普通のバンプを数(かず)行うと、つま先から頭まで全身がどっと疲れる。

5・バンプ〜補足バンプトレを私は勝手に”ダメ押しトレーニング”と呼んでいる。これは補助トレーニング種目なので、トレの始めやメイントレとしては行わない。メイントレの後に、疲れてプレスやローやジャークやスナッチなどもう出来ない、或いは無理してやったらフォームが崩れ、それじゃ意味が無いという時期に来た時にバンプが有効である。 バンプは小さな動きで、かなり疲れている時期に行ってもあまり危険は無く、くたびれてジャークやプレスが出来なくてもバンプは行える。そのくせやっている内にどんどんきつくなってくる。きつくなっている時が”効いている”時である。 このダメ押しのひと頑張りが月末の「その月のトレーニング成果を計る月末10分間タイムセット」のレップ数の向上に影響するのである。

バンプの参考ビデオは、ケン・ブラックバーンの息子ミッチ(16歳)のものを紹介したい。彼は32kgダブルできれいなバンプを行っている。 このビデオでは、顔はあまり上を向かず、又足はジャークの初動作のディップと同じ位膝を曲げている。ジャークやLC競技を控えている人などはこの位ディップして練習した方が実際のジャークに近く良いのかもしれない。

参考ビデオ←クリック


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以上ですが、他にもKBスポーツに関して何かご質問があればお答え致します。

ナゾ