ケトルベルスポーツ用語解説〜その2

NYは先ごろ”(NYにおける)日本の桜開花宣言”が発表されました。マンハッタンではピンクの日本の桜、見かけないんだけどな〜。(米国の桜の花は白色で1ヶ月以上咲き続け日本のそれとはだいぶイメージが違う。)

昨夜マイクマーラーとチャットした際、彼は「最近マーク・フィリッペ(ストロングマンチャンピオン)の作ってくれたプログラムを取り入れてトレーニングしているが、そのお陰か体脂肪率6%になった」と言ってました。6%!!!! マーラー恐るべし!!

さて前回の続きのKBスポーツ用語解説です。KBには様々なトレーニング方法がありますが、前回「KBスポーツの目的は競技だから勝つこと又はランク入りする事」と書きましたが、このトレーニングによって、全身のストレングス、柔軟性、耐久性、持久性、そして筋力などが鍛えられるので、他のスポーツを行うアスリートにも、取り入れ方次第で大変有効です。JWは今迄多忙を言い訳に不定期に少量のトレーニングを行ってきましたが、最近健康に生活し、トレーニングを毎日行ったら数週間で8kg以上痩せたそうです。(ビールの摂取量を減らした事が一番の要因かもしれないけど・笑)

1・クリーン= ケトルベルトレーニングの基本動作の一つである。ジャーク種目の一番初めの動作、そしてロングサイクル(LC)でジャークの前に行う。KBを床からクリーンする場合は、床のKBを持ち僅かにバックスイングしてから途中までフロントスイングの初動作と同じ。KBが自分の体から45度ほど前方へきた所で体全体を吊り上げるようにすると共に 僧帽筋を後方に引き肩を若干シュラッグ(引き上げる)させながらベルを上方へ導く。シュラッグをする間に肘を素早く曲げ、吊り上った体が下がって着地する一瞬手前でベルを手の中でくるりと回転させ着地と同時にベルが前腕と胸(又は胸下)の間にすっぽり収まるようにする。
KBスポーツではクリーンの一連の動作は大変早い動きで行われる。クリーンが早く行えればその分多くジャーク(LC)のレップ数を稼げるのと、クリーンの動作でエネルギーを余計に消耗させたくない為。 その為KBスポーツのクリーンは、フロントスイングからベルが曲線を描いて胸に収まるのではなく、バックスイングから体に添って直線的にベルを引き上げて胸に収める方法が好まれている。ポイントは肘を曲げた所からクリーンし終わるまでの間、ベルは手の中で自由に動き回転させる、、、要するにベルを強く握らない事。ベルを前腕にゴツンとぶつけないコツはベルの取っ手が手の中でくるりと回転する感覚を何百回も練習して体で覚えるしかない。 呼吸はダウンスイングで吐き、短く息を「シュッ」と吸いながらベルを挙げ、着地と共に息を吐く。
KBスポーツではクリーンの終わりのフォームがそのままラックポジションとなる為、クリーンの終着地点でベルを持った肘が腰骨と連結状態となっている事が理想。ロシアや東欧そして私は体を吊り上げる際踵も上がっている。そしてクリーンし終わった時は膝がロックアウトしている事。

2・スナッチ=KBスポーツに限らず、KBトレーニングに欠かせない代表的種目の一つ。床から行うフルスナッチはKBスポーツでは行わない。競技が始まる瞬間ベルを持ち、バックスイングから振り上げスナッチ。オーバーヘッドで完全に静止状態になりその際肘と膝のロックアウトを審判が目審した瞬間レップ数が数えられる。その後手を緩め手の中でベルを回転させながらダウンスイング。ダウンスイングの場合はどの種目でも両足の間にベルが入り込む際ベルを握った親指が下又は後方に向いている事。 つい先ごろスティーブ・コッターが新しい技術としてスイングやダブルジャークで上の動作とは反対に親指を外又は前方に向けたままダウンスイングもフロントスイングも行うという方法を上級トレーニングイベントで行った。(ワークショップや資格コースではまだこの方法は指導していないようだが)そのイベントに参加したハイディが「突然新技術を紹介され直後にLC数十レップスを数セットダブルベルでやらされ、皆親指を外に向けるのに気が行ってセットが行えず大きな混乱が起こった」と言っていた。コーチ達の間でも試行錯誤や新たな試みは日夜続いている。

スナッチとジャークとはセットで”バイアスロン競技”と称される。バイアスロンではスナッチとジャークの合計レップ数の多さが勝敗を決める。競技では、男性はスナッチシングルベル、ジャークはダブルベルで行う。女性はどの種目もシングルベル。又、組織によってはそのレップ数の数え方が、スナッチは左右合計が、スナッチの合計レップ数となる事もあり、又、IKFFやWKCではスナッチの左右で少ない方のレップ数のみがスナッチの最終レップ数となる。(例・もしも私が10分間で右60レップス、左55レップス行ったとしたら私のスナッチ最終レップ数は55となる。)

3・ジャーク=KBスポーツ3大種目の一つ。 ラックポジションから一旦膝を曲げ(ディップと言う)ディップした膝を伸ばす際、下半身から出力が腰骨を通して肘を押し上げ(だから腰骨と肘の連結が大事)〜ベルがオーバーヘッドに行く直前に2度目のディップを素早く行い、体が伸びると同時に胸部と顔は前方へ突き出すような感じでお尻は反対に後方にちょっと突き出る。この突き出たお尻がオーバーヘッドでのベルの負荷や重量バランスを取っている。そしてオーバーヘッドで肘と膝を完全にロックアウトさせる。 カウントされた直後に腕の力を抜いてベルをすとんと真っ直ぐ胸下(ラックポジション)まで素早い動きで一気に下げる。この際頭がまだ前方に突き出たままだとベルが頭にぶつかる可能性があるので、ベルを下げると同時に頭部と上肢を背中を曲げずに後方へずらす。

4・ロングサイクル=KBスポーツでは”キング・オブ・リフティング”と称される上級技術種目。スイング、クリーン、ジャークの要素を複合させ、呼吸と技術で完璧なムーブメントを要求される。 前回も書いたとおり、ハードスタイル又は一般のKBトレーニングにおける”クリーンアンドジャーク”(ロングサイクル別名)とは一線を画す。例えば、クリーンアンドジャークではロックアウトやラックポジション、腰骨と肘の連結等は問われない。KBスポーツでは明確なロックアウトやラックポジションが無くてはロングサイクルと言わない。

クリーンしたベルをラックポジションに収める。ここでは一度完全に膝がロックアウトされている事。膝が少しでも曲がっていれば審判に「ラックポジション無しに既に一度目のディップが行われているのか?」と疑われ、そのあと本当の一度目のディップが正確に確認されず「ノー・カウント」となってしまう。 ラックポジションからジャーク。そしてラックポジションに戻ってダウンスイングし再びクリーンからラックポジションへ。これが1サイクル(1レップ)。

KBスポーツにおけるジャークとロングサイクルとスナッチの 参考映像はこちら。 私の尊敬するセルゲイ・ラチンスキーのデモンストレーション。


今日はここまで。 続きは又。

ナゾ