ハードなスタイル?

ハードスタイル・・・・・と言ったらKBではSFGに代表される”強くなる”ことを目的にしたKBトレーニング・スタイルの総称という認識があります。

日本では、日本にいてきちんとしたKBスポーツ(GS)の指導を定期的に行っている人や場所が昨年までなかったためハードスタイルがずっと主流でした。そしてGSに関する日本語情報と教育の提供がOKCJ以外ではほとんどなかった為に、未だにGSに関して間違った認識を持っている人が多くいることを知りました。

私のジムには、元RKCや現SFGの資格インストラクターの人たちが時折GSを習いに来ます。
みんなどこかのジムでインストラクターとして働いている人か自分のジムを経営している人たちです。みんなクールな人たちで、彼らとはGS対ハードスタイルの技術や色んな話題の情報交換を行います。
ハードスタイルは、ケトルを純粋なウエイトトレーニング器具として扱い、一般的なウエイト器具同様、ウエイト(ケトル)を動かす時にテンションをかけ筋肉を収縮させそれにより筋力をつける=強くなる。ということを目的としています。それに対しGSは“スタイル”ではなく“スポーツ競技”です。まず日本の多くのケトルトレーニーさんたちに、ここを理解していただきたいです。同じケトルベルでも目的が全く異なる為当然使用方法も全く異なるのです。

GSでは“テンションをかける“と”テンションを抜く(ロシアの文献ではリラクゼーションという言葉を使ってる)“。このバランスをコントロールします。テンションを全くかけないのではありません。なぜテンションを抜く必要があるのでしょうか? 答えは”大あり“です。テンションをかけ続けてウエイトを加速させながら10分間をリフトし続けるのは、人間離れした怪力ならもしかしたら可能かもしれませんが、可能だったとしても、”テンションをかける“と”テンションを抜く“のコントロールを的確に行いながら10分間リフトした人に勝つことはまず不可能でしょう。日本では何故か今でもGSのテンションを抜くという部分だけを取り上げて「GSはケトルの手抜き。GSなんかやっても強くなれないよ」という人がいるのには驚きです。
GSでは強くなれない? 

大きな間違いです。
以前ロンドンに住んでいた時、ラグビーをやっている友人が「アメフトなんて軟弱なスポーツだ。体にギア(プロテクション)なんかくっつけて保護しなければできないなんて情けない」とアメフトを大いにバカにしていました。アメフトに比べればラグビーこそが本物の男のスポーツだよと鼻息荒く言っていました。私はその後NYに移住し、アメフトのNYジャイアンツのファンになったので何度も試合を観に行きました。そして「アメフトは軟弱どころか、プロテクションをつけなければ頭にヒビが入ったり骨折したり最悪死に至る可能性もあるほど攻撃的で危険なスポーツなのだ」と知りました。

GSに関しても皆さんにもっと事実を知っていただきたいです。
GSは「テンションをかけると抜くのコントロールをしなければ10分間とてもリフトできないほどハードなスポーツである」
「GSでは見せる筋肉ではなく使える筋肉がつき、体全体が内部から鍛えれれて強くなるスポーツ」なのです。勝つため、ランキングを目指すために文字通り血の出るほどの努力が必要で、そのために強くなる必要があります。 今日のブログの一番最初の2枚の写真はOKCジムのKBコーチでGSアメリカチャンピオンのクリス・ドエンレンです。 典型的なGSアスリートの筋肉がついています。写真はポーズを取ってもらって撮ったのではなく、彼の普段のトレーニング中私がチャチャッと勝手に撮ったものです。これを見ても「GSでは強くなれないよ」と思う人がいるでしょうか? 次の写真は二日前のマイクサレミです。

32kgベルLCのインターバルセットの最後数セット。 世界チャンピオンレベルのハイペースのセットだったためにクリーン時指をぶつけ合い出血しながらも大変苦しい思いをして最後までベルを離しませんでした。
次の写真はクリスの生徒のフィービーちゃんです。彼女の均整のとれた”しなやかな筋肉”のついたスタイルはGSで作られたものです。強くなるためではなく、このスポーツで自己記録を伸ばすことを目的に毎回ハードなトレーニングを行っています。そして最後の写真、2月のカリオープンで世界トップレベルの二人、スロバキア人のカトリーナとカナダ人のジェニファー。競技を終えて体力を使い果たし体を支える気力も無くなっています。これはスポーツなのです。とてもハードなスポーツの一つなのです。 私たちはこのスポーツで自己PRを伸ばすために強くなる必要があり、必要部分を鍛えるためにハードスタイルのプレスやTGUなどを行うこともよくあります。ローイングやバイクマシン、ランニングは毎日、ボクシングやテニスなど他のスポーツの選手同様、ケトル競技者でもケトルだけ練習していたら勝ち続けて行けません。

GS技術の習得には時間がかかります。しかし大変にやりがいのあるスポーツだし、体は内側から強くなり、外側にも使える筋肉がついてきます。
真面目にGSをやってみたい方は、サワジムに行ってみるか、私のオンラインコーチングも受け付けています。 GSはハードスタイルではありませんが、ハードスポーツなのです。