私のブログ読者の方々から今までに沢山KBスポーツに関するご質問を頂いてきました。その中でも特によく頂く質問は「RKCのようなストレングストレーニングとスポーツとしてのKBトレの違いは何か?」 そして「KBスポーツに出てくる用語を解説して欲しい」というものです。

メールで同じ回答を何回もするよりここで皆様に一度にお読み頂ければと思い、解説いたします。

始めの質問ですが、KBスポーツ以外のKBトレは主に体を強くバランスよく柔軟に、、、といった”体を鍛える、(筋力や筋肉をつける)或いは整える目的にKBを使用します。 一方KBスポーツの目的はただ一つ。”10分間というゴールの限界まで正確により多くのレップ数KBを挙げ続ける事”です。スポーツ=競技ですから、勝つこと、又はある組織の定めたランキングに到達する事が目標です。 ストレングストレとGSトレ。この2つの目的が違えば当然トレーニング哲学や方法も異なってきます。 このことをまずご理解下さい。

KBスポーツリフティング用語解説
1・ケトルベル・スポーツ= 正式名〜”ケトルベル・リフティング・スポーツ”。他にも”ケトルベル・リフティング””ギレヴォイ・スポーツ(GS)”などと呼ぶ。

2・ケトルベルの呼び名=スポーツベル。 GSベル。競技用ベル。WKCベル(最も著名なスポーツベルを扱うGS組織の名からとった)

3・プラットフォーム=競技者が競技会(大会)でその上に立って競技を行う為の一人分ずつの1〜2メートル四方の硬いゴム製又は木製のステージの事。競技ではプラットフォームからはみ出て競技を行ったら失格。

4・ロック。又はロックアウト=ロック(Lock)とは膝や肘を完全に「カチッと」ロック(固める)音がする位きっちり真っ直ぐにする事。ロックアウトとはロックした状態で一瞬静止する事。競技会ではパワージャグリング等を抜かして、基本3種目の全てでベルをオーバーヘッドでロックアウトしなければならず、ロックアウトを見届けた瞬間審査員がカウント(レップ数)を告げる。ロックアウトを認められなければ「ノーカウント!!」と言われカウントされない。 ストレングス系トレではロックアウトは特に問われないがGSでは最も重要ポイントの一つ。

5・ランキング=元々ロシアで始まったこのランキングシステムはそのまま米国に持ち込まれ、現在でもKBリフター達は競技で勝つと共にこのランク獲得を目指しても頑張っている。ランキング獲得の為のレップ数はKB組織によりかなり違いがある。しかし一般的にはランク4から始まり、3〜2〜1と上がりランク1の次はCMS(マスター・オブ・スポーツ候補)〜MS(マスター・オブスポーツ)〜MSWC(マスターオブスポーツ・ワールドクラス)となる。その上に最高峰のHMS(オナード・マスターオブスポーツ)という位もある。米国でHMS所持者は現在まで私が知る限りフェドレンコ一人。ちなみに私は現在WKCランキング1のレベルで、次はCMSに挑戦である。先月IKFFが新ランキングを発表。そのレベルがWKCより遥かに厳しいものだったので、賛否両論の議論が沸いた。

6・ラックポジション=ロングサイクル(RKCなどではKBクリーンアンドジャークなどと呼んでいるが細かな動作は微妙に異なる)〜では、KBクリーンの後とオーバーヘッドからベルを胸下あるいは胸の位置まで下げた際にベルを一旦休ませるフォーム。ジャークではジャークの前後。ラックポジションには2つの要素がある。1つは次の動作へ移る前にラックポジションで動作が停止している内に呼吸やフォームを整える事。2つ目はラックポジションの理想フォームは肘が腰骨の上に乗ってベルはなるべく体の中心近くに収まる。ベルの重心が体の中心に近いほど体幹でベルの重量を支えやすく又バランスも崩れない。そして重要なのは、ベルの重量が肘から腰骨にかかり、そして下半身の力を集結し腰骨から肘を伝わって出力を弾き出すように爆発的力でベルを挙げる(ジャークする)。言い換えれば、腰骨で肘を押し出すようにジャークに持ってゆく。これが理想のラックポジション。ただしJWのように胸や上腕が厚すぎでどうしても体型的にこの理想のラックポジションが出来ない人も多い。これらの人達は自分の理想のラックポジションを自己研究する必要がある。

7.スイング= GSではスイングと言えば一般にシングルハンド・スイングを指す。ストレングス系のトレでは体幹や下半身の強化トレとして行うがこの効果への狙いはGSトレでも同じ。違うのは考え方と導き方。GS的考え方では、スイングの初動作はスナッチやロングサイクルの為のクリーンの初動作と同じ事から、スイングの連動作を何百回も行う事で、この初動作を筋肉や体に覚えこませる事もスイングトレの大きな目的。
導き方〜技術的な事といえるが、GSスイングは同じGS系組織でも、組織により多少指導内容が異なる為、一概に「これが絶対的なGSスイング」と言い切れない。 従って、我々OKCが現在指導しているスイングを例に挙げると、トップポジションでは両膝をロックする。〜これはこのトップポジションが腕以外はラックポジションとほぼ同じフォームになる事で、スイングでラックポジションも練習できる為。


今日はここまで。 続きは次回クリーンやバンプやGS基本3種目等を解説します。

ナゾ