ブリッタニーのスナッチ技術のアドバイス (動画)

KBリフティングの中でも最も単純で、かつ最もテクニカルな種目がスナッチです。 単純というのは、ベルさえ軽ければお子さんでも頭上に簡単に振り上げられる=スナッチできます。が、突き詰めてゆくとこれがとっても奥が深く、学んでも学んでもまだ研究できるという不思議な種目です。

私たちより一つ若い世代のリフターたちは勉強熱心で力もあります。ブリッタニーちゃんはアメリカではその代表的なリフターの一人です。
Brittany van Schravendijk

アメリカ最年少女性のMS
アメリカ記録バイアスロン:63kgクラス、ベル24kgプロクラス210ポイント。
北米記録 :16kgベル ダブルLC: x 95レップス
アメリカチャンピオン :63kg クラス 24kgスナッチx 92レップス
マスターオブ・スポーツ  :63kgクラス24kgスナッチ x92レップス
マスターオブスポーツ :63kg クラス24kg シングルLC x 100レップス
IUKL世界大会 :ジュニアクラス、銀メダル 63kg クラス 16kg スナッチ x177レップス

カリフォルニア州サンディエゴのKOR Strength and Conditioning(←クリック)というジムでKBコーチをしている彼女は、未だ24歳ですでにこの輝かしい経歴!素晴らしいアスリートです。

前回の私のブログ”ノー・エクスキューズ”も彼女のブログから一部抜粋しましたが、今回は彼女がスナッチ技術の大変分かりやすい動画を作ってくれたのでそれを紹介します。まず1本目はスナッチで手の皮剥けやマメが出来るのを防ぐ為の練習! です。  

この動画の解説
これはスナッチの為のスイング練習で、スイングのトップの無重力時に一瞬手をベルのハンドルから離し(手を緩める)そして掴み直してダウンスイング→バックスイングに入ります。スナッチの時、手をゆるめないでしっかり握ったまま頭上に振り上げれば、ベルのハンドルに手の平の皮膚を”捕まれ”皮剥けやマメができる事態となってしまいます。また、手を緩めないとその後のハンドインサーションもできません。KBスポーツリフティングでは、この”手の強弱”が非常に重要です。力は必要な時のみ発揮し、必要ない時は緩めるという、力加減のコントロールをする技術がスナッチでは特に必要となります。

動画2本目は、ドルビーがいつも更新し続けてくれるOKCの動画ブログ "Orange Kettlebell Club Vlog" (VideoのBlogだから"Vlog"と呼びます。)にゲスト出演してくれたブリッタニーちゃんが、スナッチの3つのTipsを紹介してくれたものです。(Tipにはいろんな意味がありますが”ホテルのボーイにチップを渡す”のチップという使い方もあるけど、ここでは”Tip=ティップ=ちょっとした秘訣、コツといった意味で使っています。)動画のロケ地は前述のサンディエゴのKORジムです。動画はおしゃべり部分が多いので見ていただきたい部分の時間を書いて行きながらポイント解説してみます。

Tipその1。 バックスイングを急がずにしっかりやろう!
スナッチ動作のスイング部分では、遠心力を利用した振り子の動きを十分に利用しよう。よくある間違いは、バックスイングに入る時に急いでしまい勢いよくベルをお尻の方へクルッと跳ね上げてしまう。(間違いバックスイングの例のデモ2"30~) これだとベルが跳ねあっがてしまう時にそこまで続いていた流動エネルギーが止まってしまう。これではせっかくの振り子の動きを利用できず、ベルが跳ね上げたあとフロントスイングに移行する際、新しく爆発的な動力を必要とする。(注・KBスポーツリフティングでは一つの動力を次の動きにつなげてゆく事で、無駄に力を使わずに済む) また後方に跳ね上げたベルを急いで力任せに前方へスイングさせようとする時グリップ力や前腕の力(本来不必要な力)も余計にかかってしまう(ドルビーのコメントより) 良いバックスイングの例のデモ2"50~  ここでは焦らずにしっかりとバックスイングを行っている。(注・バックスイングがしっかり行われていると余裕を持ってアクセレレーションプルを行う事もできる)バックスイングを後方までしっかり行って振り子の原理を十分生かしたスイングからスナッチを行おう。

Tipその2。(3"30~) スイングを2回してからスナッチをする練習。
(注・これは1本目の動画のTipとも類似しているが)フロントスイングのトップで、これからベルが落ちて行こうとする一歩手前の無重力状態の時にベルを持つ手を一瞬ベルのハンドルから浮かせてみる。このスイング動作を2回行ってから3回目に同じ動作を行いそこから再びハンドルに手を添えてそのままトップまでベルを持って行く。(良い例のデモ 3" 55~)

Tipその3。(4"40~) トップからのドロップ時にカウンターバランスを取る事!
フィクセイションで体が真っ直ぐになっている状態からベルを前方へドロップさせる際は、前に落ちるベルに対し重量のカウンターバランスを取る為に上肢をわずかに後方にそらす事。上肢の重心がわずかに後方に傾く時、前方に差し出された腕は落ちようとするベルのスピードをコントロールしベルの落ち始めをゆっくりさせる。この瞬間までベルはまだ重力とスピードをつけて落ちて行かない。胸は若干後方に傾きベルの動きをコントロールしながらベルを前方へ促し重力がかかって一気に落ち始めたら重力を利用しながらダウンスイングを行う。 ポイント:なぜトップから一気にスピードをつけてベルをドロップさせないのか? →答え:トップでベルは手の甲の方にあり、ドロップ時ベルは手の甲の側から手の前方の方へ移動するが、その際スピードがついていると手の平を痛め皮剥けに繋がる。軽いベルのうちはまだ良いが、ベルが高重量になった時にトップからスピードをコントロールしてスローダウンさせることによりグリップも消耗させずに済む。(良い例のデモ 4" 50~)

以上がブリッタニーちゃんの動画2本の解説です。この2点の技術動画内容は彼女の著作なので本人に掲載と解説許可を得た上でアップしています。知的財産をタダで共有させて頂き有難いです! 彼女のブログはもちろん英語ですが、KBスポーツに関する教育的な内容や密度の濃いインタビュー記事などあり、とても素晴らしいブログですので、ぜひ見てみてください。ブリッタニーのブログ(←クリック)

Brittany thanks for letting me to share your video!
See you at Cali Open !!