自虐への挑戦
KBスポーツで”強い人”は、孤独とねばりと自虐性に強い。
日々のトレーニングに関しては、KBスポーツに限らず、筋トレや他のスポーツでもこの3点に強い人は”勝って”ゆく。 あいつを負かしたいとか、優勝してやるとか目標達成の為とかいった向上心や闘争心やポジティブ精神も必要だが、そこに行く過程で相当な自虐性が自己の内面に必要だと私は思っている。
”何処まで自分を追い込めるか”・・・・
下のビデオは、映画ファンの私が最も愛する映画の一つ「レイジング・ブル」のシーンとジョニー・キャッシュの歌とのコラボ。(余談だが、この映画の中でデ・ニーロは引き締まったボクサー時代から引退後までの役の為30kgも体重を増やした。トレーニングはマイクタイソンのトレーナーを雇い、太る為に3ヶ月イタリアに行き毎日朝からチーズやパスタを食べまくったそうだ。この映画の事なら何でも聞いてチョ・笑)
ボクシングを習っていた時、コーチから「女みたいなパンチを出して俺をなめてんのか!?」と言う言葉がたまに飛んできた。「うう・・・だって、女なんだもん、、、」とでも言い返すものなら、言葉が終わらない内に次のフレッシュな一撃が飛んできたであろう。 コーチは私の自虐性を上手に引き出していたと思う。 ボクシングトレーニングでの経験は確実に今の私のKBトレーニングに精神面で大きく役に立っている。
普通の男性には32kgベルは十分重い。 十分重いからKBスポーツでの現在までの最高重量は32kgなのである。日本では高重量KBが人気である。32kg以上の高重量を購入したがる人ははっきり言って海外より日本のほうが多いかもしれない。それが何故なのかは私には分からないけれど、32kg以上のベルを欲しがる、同じ人が一方で「32kgスナッチは手が痛くなるからテーピングや軍手をはめて行う」などと言ったりするらしい。32kgを買ってトレーニングするには相当な技術や力そして重くても挙げようとする、挙げ続けようとする自虐性が必要だ。なのに手の平の皮が剥けるのは嫌よというのがどうしても矛盾してるように思う。 以前私がアイアンマンでインタビューしたロシアの若手世界チャンピオンのヴァレンティン・エゴロフは「僕達(ロシアのKBリフター)は冬になると氷点下の河で肉体と精神と心臓を鍛える為に泳ぐ」と言っていた。 セルゲイ・ラチンスキーと会い、彼は”自虐の神”のようだと思った。彼はメダルを取る事よりも自分自身を極限まで苦しめる事そのものに大いなる喜びを感じているように見えた。 ボクサーにはこれに男性が元々持っている”攻撃本能”が加わる。だから男性は合法的に人を殴り傷つけ倒せられるボクシングという”スポーツ”を作ったのだと思う。 私にはこの攻撃本能は殆ど無い。”自分に負けたくない”という思いが攻撃本能の代わりに相手を殴らせた。 いずれにせよ、じりじりと自分を苦しい所まで追い込んでゆくマゾヒスティックな部分を愛する私達は皆どこかクレイジーなのである。
クレイジーバンザイ、なのだ!!! ハハハ・・・・
動画のジョニー・キャッシュの歌う”HURT”(傷つき)の役はこちら
I hurt myself today 俺は今日 自分自身を傷つけてみた
To see if I still feel 俺にまだ感覚があるかどうか 確かめたくて
I focus on the pain その痛みに 集中してみる
the only thing that's real それだけが真実で 唯一のもの
The needle tears a hole 針で 穴をひっかく ※
the old familiar sting それはおなじみの 突き刺すような痛み ※
try to kill it all away そのすべてを 消し去りたかった
but I remember everything でも俺は すべてを覚えていた
What have I become? 俺は どうなった?
My sweetest friend 俺の 親友も
Everyone I know 俺の知っている すべては
goes away in the end 結局 立ち去ってゆく ※
You could have it all お前は そのすべてを持って行ける
My empire of dirt 俺の うす汚れた帝国から ※
I will let you down 俺はお前を ガッカリさせるだろう
I will make you hurt 俺はお前を 傷つけるだろう
I wear this crown of shit (J.C.:thorns) 俺はこの「たわ言」の王冠をかぶり ※
Upon my liar's chair 俺の「嘘つき」の椅子に腰かけ
Full of broken thoughts デタラメな考えで (頭の中は)いっぱいで
I can not repair 俺は(それを) 修復できずにいる
Beneath the stains of time 「時」の色に染まることにも 値せず ※
the feelings disappears 感覚は 消滅して行く
You are someone else お前は 他の誰かで
I am still right here 俺はまだ ここにいる
What have I become? 俺は どうなった?
My sweetest friend 俺の 親友も
Everyone I know 俺の知っている すべては
goes away in the end 結局 立ち去ってゆく
You could have it all お前は そのすべてを持って行ける
My empire of dirt 俺の うす汚れた帝国から
I will let you down 俺はお前を ガッカリさせるだろう
I will make you hurt 俺はお前を 傷つけるだろう
If I could start again もし俺が また始めることができるなら
a million miles away 100万マイル 離れたところから
I would keep myself 俺は自分自身を 保ち続けよう
I would find a way... 俺は 自分の道を見つけるだろう・・・
※ tears :「引き裂く」、「ひっかく」、「かきむしる」
※ sting :「(蜂などが)チクリと刺す」、「ヒリヒリする」
※ in the end :「結局は」
※ dirt :「(土などで)汚れた」
※ shit :「糞」、「たわ言」など、おなじみの汚い言葉で放送禁止用語でもあるので、ジョニー・キャッシュはラジオ・ヴァージョンの歌詞で「crown of thorns」(イバラの冠:キリストが被せられた)と替えて歌っている。
※ stain :ステイン。「着色する」、「シミが付く」
ナゾ