”バカになる” のすすめ

サマーウォーズ」(Summer Wars)というタイトルの映画を観た。ニューヨークでたった一日特別プレミア上映会が"アジア・ソサエティー」という所で行われ、私と友人達とで行ってきた。私はこの映画の事を何も知らなくて、上映前に米国配給会社の社長が挨拶で「ベスト・ジャパニーズ・アニメーション」と説明したので「入り口のポスターがイラストだったから若しやと思ったけどやっぱりアニメだったんだ!」と。日本では去年公開されたのでご存知の方も居るかも。
私は日本の映画は殆ど観ないしアニメーション映画はどちらかと言うと興味が無い方なのだが、この映画は本当に素晴しかった!私そして一緒に行った友人達も皆泣く泣く、、、。 米国人にも受ける家族愛がメインテーマだが、そこに付随して様々なサブテーマが盛り込まれており、単なる家族の絆だけでは終わらせていない。会場3分の一を占める子供達より大人達の方が皆ボロボロと泣いていていた。 しかし、私が本当に感動したのは実は内容よりCGの技術である! 画面がとにかく物凄く鮮やかで何百色もの細かなキャラや物物がスクリーンいっぱいに凄いスピードで飛び散るのだ。又効果音や音楽も画面や場面を最高にわくわくさせ或いは感動させる要因の一つだったと思う。バーチャルデジタル都市の様子がとにかくきれい。そのスピード感も凄い! 仲間の1人が「こんな映画を作れるなんて日本人は天才だな」と私に言った。 ちなみにこの映画は各国で賞を取っている。米国では一部の映画館で短期上映。来年DVDが出る。 しかしこの映画は劇場か、でなければブルーレイで観なければこの絵の美しさは味わえないかも。それと、格闘シーンはスタローンの今年のアクション映画”エクスペンダブルズ”並のバイオレンスかつ残酷なシーンがあるので(笑)小さなお子様にはNG。

下のビデオは9分間と長い英語のレビュー。かなり詳しく解説している。

この映画を作るのに何人のスタッフが徹夜してPCで一瞬一瞬を創り上げて行ったか、、、。 原作から企画、製作そしてクランクインまで一人ひとりのスタッフにこの映画を創り上げる事への"異常なまでの情熱や執着”がなければとても細かな作業を何百時間もやっていられないだろう。何十もの不思議な生き物のデジキャラが蜘蛛の子を散らすように凄い勢いで飛び回るのだが、一つ一つのキャラに製作者達の愛情がたっぷり注がれているのが想像できた。 しかしこの様な架空のキャラを創り情を注ぐには、マニアかオタクの域に到達しなければならなかったと思う。 芸術なんて人間が"バカになりきった瞬間に生まれたりする事も多いのだ。

ここで言う「バカ」とは、頭が悪いとか弱いという意味ではなく、何かに情熱を突き詰めて一般人から「そこまでやるなんてあいつはバカじゃ」と言われるレベルまで行く人の事を意味している。 「そんな重いヤカン振り回す事にそれほど情熱を注げるモンかね〜???」と言った嫌味を時々言われる事があるが、私は自他共に認める「ヤカンバカ」なのである。「それでーいいのだ〜」と天才バカボンのパパも歌っている。(あー、古い!・笑)(余談だが、バカボンのパパと米国カルトアニメのスポンジボブ・スクエアパンツは性格的に類似していると私は見ている)

ジョンママの家でママお手製の巨大ミートボールパスタを食べている時ドルビーが「自分は父親から"なんでも良いから自分がこれだと決めた事には周りから馬鹿だといわれてもやり通せ”と教わった」と言っていた。ジョンママもそして私の父も似たような事を言っていた。 ハイディの父親はスクラップ業者で、貧困の中8人の子供達を立派に育て会社を大きくし、その後ハイディの兄が会社を継いで近年数百億円企業と成長させた。彼は自分の小遣いから貧困国に援助を続けている。 バカになって猪突猛進した結果他の人の届かない位置まで到達した人を「彼は天才かも」と一般人は思ったりする。ナントカと天才は紙一重なのだ!

ロシアからLAイベントにやって来たアナトリは64歳のKB冒険家だ。 炎天下の砂漠でケトルし、富士山の頂上でケトルし、北極と南極でケトルし、そして海底深く潜って、、、、海の中でケトルした!!! ケトルをよく知らない人なら、、、知ってる人にでさえ「そんな事して何の意味がある? バカじゃ」と括れるかもしれない。しかしその彼は数百の表彰を受け、ギネスブックに載りケトル世界チャンピオンであり、ロシア国から名誉人と評され、彼の著書では肩書きを箇条書きするだけで十数ページも使っている。世界の文学者の団体や政治、作家協会、音楽団体(彼はクラシック音楽のDVDも出してる)、、百以上の"名誉顧問や会長”の肩書きだ。 若し彼を「バカみたい・・・」というなら、彼は最高級の”バカ”なのだと思う。(どうにも他に適切な日本語が探せないので"バカバカ"と書いてしまい、不快な気分をされる方がいらしたらどうかお許し下さい。 )
12時間もケトルを挙げ続けるラチンスキーも同じタイプである。(だからこの両者は仲が良い) そして、我がOKCのジョンとジェイソンはアナトリに出会い、「まさにこれだ!! 俺達はアナトリみたいになりたいんだ!」と大〜〜〜〜きな影響をうけたのである。

二人は他の仲間達が、やる前から無理だとか馬鹿馬鹿しいとか損するとかお金や時間が勿体ないとかと思う事に敢えて喜んで挑戦したがる。 ドルビーは1時間LCをやると決めてからは雨が降ろうと槍が降ろうとも練習をサボらなかった。OKCジャパンツアーでも、持参した磁石の重りをケトルの底につけて重さを調節し練習を行っていた。イベント開催には多大な費用が掛かるが、チャリティーなので儲けは1銭もない。ドルビーは自分のありったけのお金を全てこのイベントに捧げた。このイベントとロシアコーチの面倒を見る事以外は殆ど盲目であった。そしてその結果自分自身のPRも含め3つの世界記録をこのイベントから誕生させた。

そして二人は更に”バカ”を突き詰めようとしている。そして私にも一緒に”バカ”になれと言う。 うううう・・・・・私も相当のおバカであるが、彼らのレベルにはまだ達していない(笑)。

昨日私は、米国初のマスター・オブ・スポーツであるAKCマスター・コーチのキャサリン・アイムスとハイディと3人でデートした。
ブラジル料理の食べ放題で最後に気分が悪くなるまで3人で食べまくり、飲みまくり、喋り捲った。 最高に楽しいひと時だった。キャサリンとは今までも何度か会っていたがゆっくり個人的に話した事は無く、ハイディも会うのは初めて。しかしまさかこれほどノリが合うとは互いに想像もしておらず、広いレストランは超満席だったのに私達が店を出る時は店は空っぽで最後の従業員が帰るのと同時だった。(夜中2時近く)キャサリンは昨日AKCのストロングマンイベントの参加で来ており、32kgベルでシングルジャークを左13レップス右18レップス行ったそう。 流石はチャンピオンである! それにしてもよく笑い転げた数時間であった。実は彼女は業界ではかなりの毒舌家でありシビアな酷評家としても有名。フェイスブックでもSコッターなどの大物などともガンガンやりあう。 ・・・ので、一夜明けた今日JWが心配気に「昨夜どうだった?」と聞いてきたので「3人で漫才トリオみたいに面白かったよ!!最高だった!」というと真面目にびっくりしていた。私とキャサリンはあまりにも違うタイプなのでウマが合うというイメージが沸かないらしい。 分かっちゃいないなJW。私は”ふつ〜〜の女の子”とはウマが合わないんですよ(笑)。

そして、当然ではあるが、、、例に漏れず彼女もまた筋金入りの”ケトルバカ”であった。 リスペクト・リスペクト!!
(ちなみに私と彼女が一緒のカラー写真はアイアンマン今年5月号の私のアーノルドリポート記事の中にあります。)

なぞ