ハイチ大地震救済援助ブートキャンプ

去る1月12日にハイチを襲ったマグニチュード7を超える大地震のニュースを知らない方はおられないと思う。

数日前の情報で、既に死者約20万人(埋葬されているのは7万人ほど)、負傷者25万人と推定されている。(数字の情報は新聞社やTV各局により異なる)
現場は地獄絵さながらの様子だという。 トイレも水も食料も医療品も設備も、ヘリや小型機が離着陸できる平地も何も無い状態であったそうだ。怪我の傷口から感染した人の腕や足は切り落とさねばならなかった。。。。
私は極貧国の援助関係の(援助交際などと勘違いしないように!!) プロジェクトに関わる事もあり、今回の大惨事を他人事でなく受けとめていた。

当然多くの人が私と同じ様に考え、私はケトル仲間達と何か出来ないかと話していた。
そこへJWからFace Bookで皆に ”ハイチ救済援助OKCワークショップ" と題したイベント案内が飛び込んできた。大地震の翌日の事で、私は彼も同じ事を考えていたというのと、その素早い対応に感激した。
彼のイベント内容は、その名が示す通りハイチ救済の為のケトルベルワークショップを行い、参加費全額を赤十字に送るという一般的であり又最良の援助活動の一つである。

彼は私に電話で「自分は若いし体力もパワーも充分にある。その自分が実際現地に行ければどれだけの人を瓦礫の下から救い出す事ができるだろうと思うと、いてもたってもいられない。日頃体を鍛えていた事がこういう時に何にも役に立たない自分が情けない。 では援助金を送ろうと思ったが、自分には小額しか出せない。なら、瓦礫を持ち上げる代わりにケトルを挙げて助けようと思った。 ワークショップを行い、皆でケトルを挙げて一人ずつの参加費を集めて送ろう」 と。

私はカリフォルニアのワークショップに参加できないので、その場で銀行に行き、参加費1万円をJWに送った。
1万円で何人もの人に水や食料が配られ一人でも命が救えたとしたら安いもんである。
JWのFaceBookの告知には「この救済イベントのアイデアを多くの人に盗んで行って欲しい!」 とあり、マイクマーラーや他沢山の人から賛同の声が上がり、私も仲間と直ちに緊急イベントの告知をした。

こういう事は急を要する。 今この瞬間にも命は失われているのだ。 私達は告知を水曜日にし、イベントは土曜日に行った。友人のJTは高級マンションの中にあるフィットネスジムを管理しており、Face Book上での告知と共に500世帯位入っているマンションの住人達に、管理人を通して告知して廻った。突然で何の特別な内容も用意したいなかったので時間は90分間にして、誰でも気軽に寄付できる金額として参加費一人3千円とした。JWのワークショップは4時間である。

私達のワークショップはケトルなど知らない、マンションの一般住人向けのブートキャンプである。
宣伝期間が2日間しかなかった為、当日は10人も集まらなかったが、それでも続々と住人達がジムに小切手を届けに来てくれた。中には5千円から3万円までの小切手を快く切ってくれる人達も居た。告知を知らずにジムにトレーニングに来てそこで初めて事情を知り、一旦階下の自宅へ戻って小切手を持ってきてくれる人も居た。
ニューヨークという街は、普段個人バラバラに暮らしているが、この様な大惨事などを知ると突如皆一丸となって助け合う"力"を持っている。 私がこの街に越してきた時はワールドトレードセンターが完全崩壊したあの911のテロ事件の起きた2ヶ月後であったが、その時も街の人達から同じ"力"を感じた。 誰もが互いを助け合っていた。

さて、ブートキャンプの内容は、予備運動のあと、バーベルスクワットのラダー、これは基本的に自重の50%のウエイトで行い、セットごとに数レップス増えて行く。バーの経験が無い人はダンベルで。
次にサンドバッグを計画していたが、一般トレーニーの参加者達から「重い、無理だ」と弱弱しい発言が相次ぎ却下(笑)そしてグラインダーというサーキット方式のカーディオたっぷりのトレーニング。
プッシュアップ、TRX row(ケトラーにはなじみの深い自重トレーニング器具)、大き目のエクササイズボールに水が半分くらい入ったアクアボール(両腕でボールを抱きかかえ、右から左、左から右へと大きく振る。体を動かしたあとに水がついて来るので負荷の掛かり方が面白い優れたエクササイズ)、大小ケトル(両手スイング90秒) これらを30分のサーキットで行い、種目間は休憩の代わりにランニング、要するに30分間止まってはいけないのである。 これはきつかったが楽しかった。 アクアボールが私には大きすぎて腕がボールに廻らず、数回左右に振ると腕の力が弱まりボールを落としそうになるのでこれが一番辛かった。又プッシュアップは肘が痛くなりそうで途中でストップ。JTが「一番きつかったのは?」と聞いたらナント私以外の全員が大声で「ケトルベル!!!」だと!(笑)なので、最後は私とJTとでケトルベルの両手スイングを指導。 JTはAKCのインスト及びチャンピオンGSリフターだが、ブートキャンプの時はハードスタイルが基本。ブートキャンプで省エネスタイルじゃ意味が無い。

90分間参加者と共に苦しく楽しいひと時を過ごした。そのあとJTお勧めの滅茶苦茶美味しい日本の居酒屋で、他でハイチ救済援助ワークショップをした仲間と合流して食事。軟骨や砂肝など食し、「NYに10年住んでるけどこんな珍味系食べたの初めて!!!」と感激に浸る(笑)仲間の一人はもとアイアンマン・オーストラリア誌の編集長だったそうで、アイアンマンの話で盛り上がった。 しかし、、、全員カップルで、私だけシングル参加か、、、、うう、、、。 救済援助金の総額は結局30万円ほどになったそう。 JTは小切手をまとめて赤十字に送った。

有意義なイベントであった。

Nazo